永久歯の数の足りない子供が増えている?


永久歯は上下あわせて全部で何本生えるものなのか、ご存知でしょうか。
正解は28本です。(親知らずは数に入れません。)
このお話は以前にこの記事で取り上げたことがありますよね。

さて今回は、28本の永久歯のいずれかが不足した状態「先天欠如」についてのお話です。

通常は中学生ごろになるとすべての永久歯が生えそろうのですが、なかには永久歯の数が普通の人よりも少ないため、いつまで待っても全部の永久歯が揃わないことがあります。これを永久歯の先天欠如と呼びます。

先日の日本小児歯科学会では、永久歯の数が足りない子供の割合が増えている、しかも最近に生まれた子供ほどその確率が高く、1995年以降に生まれた子供に関しては約10人に1人の割合でいずれかの永久歯が先天欠如しているという驚くべき発表が行われました。

鹿児島大学をはじめとして全国7大学が共同研究を行い、15000人もの子供を対象に調査した研究ということですから、数字としてはまず間違いのないものでしょう。

矯正歯科に来られる患者さんにも、永久歯の数が足りないために歯並び・かみ合わせに問題が生じているケースがしばしば見受けられます。永久歯の先天欠如は、空隙歯列をはじめとした不正咬合の原因の一つとなります。

永久歯の先天欠如の有無については、患者さんがご自身で見分けることはかなり難しいと思います。
次の写真を見てみましょう。これは下顎の歯列を写したものですが、歯列の左側(写真では向かって右側になります)の一番後ろは、右側と見比べると歯が1本足りていないように見えます。一見すると、永久歯が足りていないのはこの場所だけに見えますが・・
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レントゲンで見ると、矢印の歯が他の歯とちょっと違うように見えますね。なんだか歯の根っこがほとんどありません。これは永久歯が生えて来なかったため残ってしまった乳歯だったのです。つまり、下顎の歯列は3本の永久歯が欠如していたことになります。
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乳歯がこのままずっと残せるのなら問題はないのですが、永久歯が生えてこない場合でも、ある時期になると乳歯の歯根はだんだん吸収されてしまい、通常はいずれ抜け落ちてしまいます。
上のレントゲン写真でも、乳歯の歯根はもうほとんど残っていない状態です。

先天欠如はDNA上の素因によって生じることが分かっていますが、その一方で、永久歯の先天欠如がだんだん増えている理由については実はまだよく分かっていません。
環境の変化や、進化(あるいは退化)によるものだろうとは考えられていますが、具体的に何が影響した結果なのか、今後人間の歯の数はどのように変化していくのかなど、詳しいことは今後の研究に委ねられています。

# by yamawaki2527 | 2011-01-13 11:48 | 歯ならびの話  

ロームのイルミネーション


京都には、世界に誇れる企業が幾つもありますが、京都市右京区に本社を構える半導体メーカーのロームもその1つです。
年の瀬になるとローム本社ビルのある佐井通りでは、五条から花屋町にかけて街路樹のライトアップが行われます。

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ライトアップは大変美しく、また驚くほど大規模なものです。年末限定とは言え、これだけのものをロームさん1社で運用するのは電気代だけでも大変では・・と要らぬ心配をしてしまいますが、公式サイトによると風力発電など自然エネルギーだけで賄っているのだとか。すごいですね。

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隣接した名倉公園では、なんと公園全体がライトアップされています。写真は平日に撮影したものですが、公園の中は親子連れで一杯でした。

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公園のさらに隣の「オプト棟」という建物の壁面には、電飾を使った映像が映し出されていました。
地面に設置されたボール状のランプと壁の映像との組み合わせて水の波紋などが表現されており、とても綺麗でした。こればかりは写真では伝えられませんので、現地でご覧下さい。

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映像をずっと眺めていると、たまにサンタクロースが通り過ぎます。

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ライトアップは12月25日まで毎日16:45~22:00に行われるそうです。
みなさんも是非、できれば週末は避けて、イルミネーションの見物へお出かけ下さい。

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# by yamawaki2527 | 2010-12-05 22:12 | 京都の話題  

どこでも電動歯ブラシ! ポケットドルツ


音波の作用で歯列のすみずみまで綺麗に磨ける、音波型電動歯ブラシ。同じ時間でも効率よく歯みがきが出来るため、いったん慣れてしまうと手放せなくなるアイテムです。

毎食後に歯を磨く習慣のある方は、外出時にも電動歯ブラシを使いたい、と思ったことがあるかも知れません。
しかし実際に電動歯ブラシを持ち歩こうとすると、いくつものハードルが待ち構えていることに気づきます。

1つ目のハードルは、電動歯ブラシ本体の大きさです。電動歯ブラシは内部に充電池があるため大柄なものが多く、ケースに収納してバッグに入れようとすると結構なスペースをとってしまいます。
2つ目のハードルは、1つの本体を家族で共用しているケースが多いということです。本体が比較的高価なため、自分用の替えブラシを付けて使用するのが一般的ですが、持ち出している間はほかの人が使うことができなくなってしまいます。

これらのハードルを一気に飛び越えてしまったのが、「ポケットドルツ」(パナソニック社製)です。

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第一印象は、とにかく小さい!!という事に尽きます。わずか45g、これならバッグにも余裕で入ります。価格も量販店で3000~4000円程度ですので、自分専用に持つことが出来そうです。

ポケットドルツは、歯ブラシの毛先が一分間あたり約16000回振動する音波型の電動歯ブラシです。
ソニッケアーの約31000回と比べると振動数は低く、ブラシの毛も柔らかくなっています。
そのため、音波型電動歯ブラシの一般的な使い方となっている「歯面にブラシをあてておく」ような磨き方ではなく、スクラビング法で磨くのが適しています。
その際はなるべくストロークを小さくして、あくまで毛先を歯間部や歯頚部(歯と歯ぐきとの境目)に届かせることに意識を集中します。(余談ですが、そもそもスクラビング法とはこういう磨き方をするものです。ほとんどの方は毛先をゴシゴシと派手にスライドさせていますが、それでは細部をうまく磨くことができません。)

正直に言いますと、使ってみるまでは「パワー不足なんじゃないかな?」とか「普通の歯ブラシで磨くのとほとんど変わらないのでは?」などと穿った見方をしていたのですが、実際に使用すると非常に優れたモノであることが分かりました。パナソニックさん、すみませんでした。

外出先で歯を磨く場合、どうしても十分な時間が取れないことが多いと思います。ポケットドルツは短い時間でも効率的に磨けるため、持ち歩くメリットは大きいと思います。
また思いもよらなかった利点として、振動がマイルドなため実際に使ってみると非常に「気持良い」感触が得られることが挙げられます。手早く気持ちよく磨けますので、歯磨きが億劫な人にもお勧めできるかも知れません。

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キャップを閉めるとこんな感じです。
カラーは写真のオレンジ色だけでなく、かなりのバリエーション(限定モデルのようですが、ピンクだけでも何種類もある?)が揃えられてます。ブラックモデルはブラシまで黒色でぎょっとしますが・・・

ブラシは約3か月ごとに交換するよう推奨されていますが、音波型電動歯ブラシとしてはやや柔らかめの毛が使用されていますので、マルチブラケットのような固定式の矯正装置を付けている方は1か月ごとに交換したほうが良いと思います。

歯磨きが大好きな人もそうでない人も、ポケットドルツで「毎食後歯磨き」にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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# by yamawaki2527 | 2010-11-03 20:46 | その他  

小林カムイと鈴鹿F1日本グランプリ


今回は、歯並びや京都とは関係のない話題、F1グランプリについてのお話です。
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F1グランプリは世界最高峰の自動車レース選手権で、オリンピック、サッカーワールドカップと並ぶ世界三大スポーツとされています。
1950年より始まったF1グランプリですが、今年は12チーム24台が参戦し世界19か所を転戦します。

小林カムイと鈴鹿F1日本グランプリ_c0193833_12403916.jpg日本からは、兵庫県・尼崎市出身の小林可夢偉(こばやしかむい)選手が参戦しています。
昨年シーズン終盤に、怪我で欠場したドイツ人選手の代わりとして急遽パナソニック・トヨタチームから2レースに参戦し、ベテラン顔負けの活躍で注目を集めました。

翌年はレギュラードライバーとして更なる活躍を期待されましたが、トヨタチームは不況を理由として2009年限りでのF1撤退を表明します。
小林選手にとってタイミングが悪かったことに、この時期はほとんどのチームが来年のドライバーを決めており、移籍できる余地はほとんど無いように見えました。デビュー直後にしていきなりキャリア終焉の危機を迎えてしまったのです。
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小林選手を救ったのは、同時期にF1撤退を表明したBMWチームを買い取り、チームの再建に乗り出したペーター・ザウバー氏でした。ザウバー氏はBMWチームの前身にあたるザウバーチームを率いていた人で、BMWにチームを譲り一度はF1の世界から引退をしましたが、自分が興したチームの消滅を見かねてF1に戻ったそうです。

ザウバー氏は、新人ドライバーの才能をいち早く見抜く眼力に定評があります。ザウバー氏の元で育てられたドライバーには、ミハエル・シューマッハー、キミ・ライコネンなど後のチャンピオンとなった選手が含まれています。
ザウバー氏は、チームの再建にあたって真っ先に小林選手と契約し、2010年の選手権に臨みました。
シーズン序盤は、機械の信頼性不足によるリタイア(途中で故障してしまう、ということです)が続きましたが、チームの立て直しが進むにつれ、小林選手の目覚ましい活躍が見られるようになりました。

そして10月10日、鈴鹿での日本グランプリ決勝を迎えました。小林可夢偉選手にとっては初の母国凱旋レースです。
ホンダ・トヨタが撤退し、ブリジストンも今年限りで撤退するため、日本の期待は小林選手の一身にかかります。

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今回私は、尼崎市の朝井矯正歯科院長の朝井寛之先生と一緒に、鈴鹿日本グランプリを観戦しました。
写真はレース開始直前のグランドスタンドからの風景です。前日の豪雨が嘘のような晴天でした。

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中央上の白い車が小林選手です。朝に行われた予選では少しミスがあり、14番手からのスタートです。

レースはスタートからリタイヤが続出する波乱の展開となりました。
鈴鹿はオーバーテイク(前の車を追い抜くこと)の難しいサーキットですが、小林選手は卓越した作戦とテクニックでどんどん順位を上げて行きます。

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終盤、タイヤ交換を行った後は上位チームを次々と追い抜き、ついに7位入賞でレースを終えます。
小林選手の前には今年のチャンピオン争いをするレッドブルやフェラーリなどの5台と、メルセデス(ベンツ)に乗る史上最多勝利数を誇るシューマッハの計6台のみですから、チーム力から考えると望みうる最高の結果と言えます。
予選を失敗して不利なポジションからのスタートであることを考えると、ちょっと考えられないくらいの好結果です。現地では大勢のファンが大喜びしながらも、小林選手の活躍があまりにも凄過ぎてにわかには信じられないような、不思議な空気が漂っていました。
小林選手には、日本のF1の将来をすべて1人で背負い込むような大変なプレッシャーがあったのだろうと思います。川喜田研さんの記事片山右京さんのコラムからも窺い知ることが出来ます。(リンク先のページも是非ご一読下さい)

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レース後、小林カムイ選手と(?)記念写真。
みなさんも是非、小林可夢偉選手を応援して下さい!

# by yamawaki2527 | 2010-10-17 13:07 | その他  

日本矯正歯科学会


日本矯正歯科学会_c0193833_10471931.jpg矯正歯科の分野で一番大きな学会は、日本矯正歯科学会です。いわゆる認定医の試験を行うのはこの学会です。

毎年秋には、日本矯正歯科学会の学術大会が開催されます。今年は9月27日~29日にかけて横浜で大会が催されました。

3日間の会期の間には、各種講演やセミナー、症例展示、学術展示、業者展示などが行われます。

山脇矯正歯科からも、大阪歯科大学、沖縄県こばやし矯正歯科との共同研究の学術発表を行いました。今回の発表は、治療開始時のレントゲン検査の数値に関するものです。
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業者展示では、矯正で使用する器具や材料の展示が行われます。新しい材料のお披露目が行われることもあります。
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ブースによっては、器具メーカー主催の講演も行われており、毎年たいへん混雑します。
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学会の会期中は診療所を休診させていただき、ご不便をおかけしました。学会で得られた情報は今後の診療に役立てたいと思います。

# by yamawaki2527 | 2010-10-05 10:58 | ちょっとアカデミックな話