カテゴリ:ちょっとアカデミックな話( 12 )

 

歯並びと遺伝子疾患 (日本矯正歯科学会@名古屋)


今年の日本矯正歯科学会は名古屋国際会議場で開催されました。
名古屋国際会議場と言えば、この立派な像がお出迎えです。以前にも当ブログで登場したことがありますね。

c0193833_0594980.jpg

今年は開催期間が4日間と長く、たくさんの講演・発表が行われました。
中でも個人的に興味深かったのは、教育講演として行われた遺伝子疾患についての2演題でした。

人間の体を構成するために用意された遺伝子情報は、わずか2万程度(21787)であることが知られています。これは人間の体の複雑さからすると、信じられないぐらいコンパクトな情報量です。
1つの遺伝子情報は平均3000の塩基対から構成されているそうですから、コンピューターで馴染みの情報単位に換算すると、21,787×3,000×2bit=15.6Mbyte(16進法表記)となります。
GB(ギガバイト)ではありませんよ!たったの16メガバイト弱なんです。

これは、安いものだと数百円で売られている2GB(10進法表記)のSDカードなら、約119人分の遺伝情報が収録出来てしまう計算です。
音楽CDは640MB(10進法表記)ですから、39人分に相当します。
64GBのiPhone4Sなら空き容量は約57GB(16進法表記)ですから、なんと3741人分が入ってしまいます。
(補足:人間の塩基対は全部で約30億対あるため、これをコンピューター風に表現すると約715.3Mbyteです。実際に遺伝情報が載っているのは15.6Mbyteですから、遺伝情報として使用されている領域は全塩基対のわずか3%以下ということになります。)

たったこれだけの情報量で体の構成をすべて網羅するには、とてつもないデータ圧縮が必要です。
私たちがコンピュータープログラムの圧縮などで使う可逆圧縮(完全に元通りに復元できる圧縮方法)では、とてもこんなに小さくすることはできません。
音楽や写真、映像などの分野で使われている非可逆圧縮(人間にはほとんど元通りに見えるが、実際にはいくらか情報を端折っている)では、離散コサイン変換というかなり能率の良い武器が使えるため、元の10分の1以下に圧縮することができます。ウォークマンもDVDも地デジも、みんなこの方法の仲間を使用しています。しかしこれでも遺伝情報の圧縮能率には到底かないません。

じゃあ、遺伝子はどんなトリックを使っているのかと言うと、実は1つの遺伝子が1回だけ使用されるのではなく、様々な場所で何度も使いまわしをされているのです。
例えば、歯や歯肉、唇などを形づくる遺伝子は、脳神経や手足、血球などを作るときにも使用されています。
これは我々が実用化している圧縮技術とはまったく異なるもので、あえて言うならばフラクタル圧縮がイメージ的に近いものだと思います。(もちろん現存するフラクタル圧縮方法で同等のものは無いと思います。)

やっと本題に入りますが、矯正治療の対象となる口腔組織やその機能は、多数の遺伝子の作用によって複雑に形成されるため、遺伝子のトラブルによる影響を受けやすい領域であることが分かっています。
例えば、ある特定の遺伝子疾患と診断されないような軽度の遺伝子欠損が存在する場合でも、歯並びや歯根の形態に影響を与える可能性があります。
このことは常識的に考えられている遺伝子疾患の頻度よりもずっと高い確率で非典型的な症例が存在することを意味しています。そのため、すべての患者さんに対して通常は見られないような歯根吸収が生じていないか、歯周組織の脆弱性がないか、その他あらゆる非典型的な振る舞いがないかについて、治療中も経過をよく確認することが重要だと考えています。

なお学会の講演では、遺伝子検査の最前線(試験段階のもの)や、歯科との協力体制等について紹介されました。

c0193833_103068.jpg

さて、今回の学会では発表の撮影が禁止されていたため、代わりに名古屋市内某ホテルのロビーで撮ったこんな写真を。ホンダがF1に参戦していたときのマシンです(99年型BAR001に07年型RA108のペイントをしたもの)。
これを見ていると、もし佐藤琢磨があのままホンダに乗れていたら、そしてホンダの撤退があと1年遅かったら・・・などなど、日本人として色々と複雑な気持ちになってしまいました。

今のF1マシンに目が慣れていると、99年当時のマシンは非常にシンプルな形状に見えてしまいます。
現在のF1マシンは技術や理論があまりに高度で、どのパーツがどこでどんな空力作用を与えるのか、まったく想像もつかなくなっています。
もはや遺伝子レベルです。

by yamawaki2527 | 2011-11-04 01:25 | ちょっとアカデミックな話  

日本矯正歯科学会


c0193833_10471931.jpg矯正歯科の分野で一番大きな学会は、日本矯正歯科学会です。いわゆる認定医の試験を行うのはこの学会です。

毎年秋には、日本矯正歯科学会の学術大会が開催されます。今年は9月27日~29日にかけて横浜で大会が催されました。

3日間の会期の間には、各種講演やセミナー、症例展示、学術展示、業者展示などが行われます。

山脇矯正歯科からも、大阪歯科大学、沖縄県こばやし矯正歯科との共同研究の学術発表を行いました。今回の発表は、治療開始時のレントゲン検査の数値に関するものです。
c0193833_10481995.jpg

業者展示では、矯正で使用する器具や材料の展示が行われます。新しい材料のお披露目が行われることもあります。
c0193833_10484185.jpg

ブースによっては、器具メーカー主催の講演も行われており、毎年たいへん混雑します。
c0193833_1049032.jpg

学会の会期中は診療所を休診させていただき、ご不便をおかけしました。学会で得られた情報は今後の診療に役立てたいと思います。

by yamawaki2527 | 2010-10-05 10:58 | ちょっとアカデミックな話  

6月の歯の学会


c0193833_12374015.jpgさる6月13日、大阪千里ライフサイエンスセンターで第52回近畿東海矯正歯科学会学術大会が開催されました。

学術大会とは研究発表や臨床報告を行う場で、学会にもよりますが通常1年に1回開催されます。
発表とは、自分が研究してきた内容について、同じ分野を研究している人や、違う立場の人からの意見を集めて、今後の研究や論文作成の参考にするものです。

山脇矯正歯科は、今年も当学会での発表を行いました。今回は大阪府のたかぎ歯科・矯正歯科 院長 高木秀人先生と、大阪歯科大学歯科矯正学講座 助教 蓮舎寛樹先生との共同発表です。
発表では、かみ合わせの深さをもとに前歯の歯根への負担量を推定するIIDDという計測項目について述べています。
c0193833_12382182.jpg

この計測項目と手法は当院副院長が発案・提唱しているものです。
これは矯正治療法そのものを進化させるための研究ではなく、矯正治療のときに一定確率で起こる「歯根吸収」という嬉しくない偶発症が、どの程度起こりやすそうかということを予測するためのものです。

すべての患者さんが、治療途中に何一つトラブルを経験することなく治療を完了できることが理想ですが、(矯正治療に限ったことではありませんが、)残念ながらこれは原理的に不可能なことです。
しかし問題点を予め察知することができると、対処するための機会が得られたり、場合によっては回避することも可能となります。

当院では、1人でも多くの患者さんが歯や歯周組織のトラブルに直面することなく治療を受けていただけるよう、これからもさまざまな努力を続けて行きたいと思っています。

c0193833_12384022.gif

by yamawaki2527 | 2010-07-05 12:52 | ちょっとアカデミックな話  

日本舌側矯正歯科学会


3月21日、大阪リーガロイヤルNCBにて日本舌側矯正歯科学会(JLOA)の学術大会が催されました。

c0193833_14164387.jpg

舌側矯正とは、いわゆる「裏側からの矯正」のことです。「見えない矯正」とも呼ばれますが、「見えない矯正」の中には取り外し可能な透明のトレー型装置で行う簡易的な矯正治療も含まれますので、ここでは歯の裏側に固定式の器具(リンガルブラケット)をつけて行う矯正治療を指しているとお考え下さい。

舌側矯正は、表側からの矯正治療と比較すると、物性や力学の面で不利な要素がたくさんあります。そのため、表側からの矯正治療と遜色のない治療結果を得るためには、さまざまなノウハウを理解し、複雑(煩雑?)な器具の調整を行うことが必要です。

これらの欠点を克服するため、近年では裏側矯正で使用されるブラケットは、表側に使用するブラケット以上のペースで改良が進んでいます。
治療法においても、歯の痛みや歯の移動の遅さの原因を減らすための工夫や、歯のコントロール性を高めるための方法が数多く考案されてきました。

今回の学会でも、治療テクニックや新しい器具開発についての発表が盛んに行われました。
器具については、とくに近年は高効率化(トータルの治療期間・一回あたりの診療時間の短縮)を図ったものが増えてきました。
それでも表側からの治療と比べるとまだまだ複雑で手のかかる治療であることには変わりはありません。

舌側矯正の治療では、患者さんに口を開けてもらう時間が長くなるため大変ご負担をおかけしていますが、きれいな歯並びと正しいかみ合わせを作るため、とご理解いただけたら幸いです。

by yamawaki2527 | 2010-03-23 14:17 | ちょっとアカデミックな話  

歯磨きとインフルエンザ予防


昨年より猛威をふるっていた新型インフルエンザですが、昨年末ぐらいからようやく終息の兆しが見えてきたようです。
1月最終週の京都府内での定点あたり新型インフルエンザ受診者数は約4人でした。ピークのころは30人以上だったため、勢いはおさまってきた印象を受けますが、まだまだ油断は禁物です。

ところで、みなさんはきちんと歯磨きをするとインフルエンザに感染しにくくなるという話をご存知でしょうか?
テレビ番組や新聞でも取り上げられたため、耳にされた方もいらっしゃるかと思います。

インフルエンザウイルスは、手についたウイルスが食べ物と一緒に入ってきたり、空中に漂っているウイルスを直接吸い込むなどして、喉の粘膜の細胞に付着することで感染すると言われています。
インフルエンザウイルスは、実はそのままの形ではうまく細胞に感染することができません。感染するためには、ウイルス表面にあるHAという名前の手が開いて、喉の細胞に捕まることが出来る形にならないといけないのです。
このHAという手は、人間の細胞や口の中の細菌が作り出すTLPという物質によって開きます。

2006年に発表された論文では、きちんとした歯磨きを行うことで口の中の細菌が減り、TLPという物質が大幅に減るために、インフルエンザにかかりにくくなるということが示されています。(ちなみに通常の風邪については、インフルエンザほどはっきりとした違いは無かったそうです。)

また2月8日の京都新聞の記事によると、東京のとある2か所の小学校で洗面台を増やして、給食後の歯磨きをきちんとさせたところ、都内の他の小学校と比べてインフルエンザによる学級閉鎖率がとても低かったそうです。

みなさんも手洗い・うがい・歯磨きを忘れないようにして、インフルエンザを撃退しましょう。

c0193833_03808.gif

by yamawaki2527 | 2010-02-10 00:51 | ちょっとアカデミックな話  

日本矯正歯科学会2009 福岡 


11月16~18日の3日間、福岡で矯正歯科の分野では日本最大規模の学会、日本矯正歯科学会が開催されました。
皆様にはご迷惑をおかけいたしましたが、当医院も月・水と休診させていただき学会に参加してきました。
会場は福岡の国際会議場です。

c0193833_15595167.jpg

学会では、さまざまな研究や症例の発表が展示されます。
名前はご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、認定医という資格はこの学会が認定するもので、今回も多くの先生が申請や更新のための発表をされていました。


c0193833_1601914.jpg

c0193833_1603621.jpg

会場の横ではたくさんの歯科材料メーカーが商品の紹介に来ています。
矯正装置や器具をはじめ、レントゲン装置や歯ブラシにいたるまで治療に関わるものは全て並んでいます。
これはたくさん材料を比べることのできる貴重な機会です。


すぐそばの福岡国際センターでは大相撲九州場所が開催されていて大変賑わっていました。
観戦することはできませんでしたが、たくさんの力士さんとすれ違い、少し雰囲気を味わうことができました。


福岡に着たからにはと、帰りに博多ラーメンを食べに行きました。何度か訪れたことのある「一蘭」さんという博多では名の知れたお店です。
ここはただひたすら味わうことに集中してもらおうと、すべての座席の前と両横を仕切って半個室状態になっているので有名です。
私も味に集中するあまり、写真を撮り忘れてしまいました。
コクのあるトンコツスープにピリ辛の秘伝ダレが絶妙です。
博多に行かれることがありましたら、ぜひお立ち寄りください。


c0193833_1605789.jpg

さて、博多のお土産といえば「ひよ子」が定番ですよね。今回は自宅用まで買ってきました。
頭もお腹も大充実の3日間でした。

by yamawaki2527 | 2009-11-24 13:03 | ちょっとアカデミックな話  

近畿東海矯正歯科学会 2009

さる6月14日、名古屋国際会議場で近畿東海矯正歯科学会の学術大会が催されました。私たちも学会参加のため名古屋に赴きました。

c0193833_11443446.jpg名古屋市熱田の会議場に到着すると、出迎えてくれたのは写真の巨大な像。「幻のスフォルツァ騎馬像」と書かれています。

なんでも、レオナルド・ダ・ビンチが当時のミラノ領主から史上最大のブロンズの騎馬像制作を依頼されたものの、粘土像まで作成されたところで制作が中断され「幻」となっていたものを、日本の技術で復活・完成させたものなのだとか。

今回の制作時にコンピューターで計算したところ(有限要素法でしょうか?)、ブロンズでは強度的に耐えられないことが判明したためFRPで制作を行ったそうですから、ダビンチの時代に鋳造まで行ったとしても完成させることは出来なかったのかも知れませんね。


さて本題ですが、今回は特別講演が二題行われ、松本歯科大学の山田一尋教授が「矯正臨床における顎関節症に対する対応」という演題で、長野県の水野均先生が「開咬の形態と機能と機能回復‐その治療目標」という演題で講演されました。

顎関節症や開咬は、さまざまな要因によってもたらされる機能障害ですので、矯正治療を行う上では非常にやっかいなものです。
矯正治療では最初の検査時に診断を行い、全体の治療方針を決定します。ところがある種の自己免疫が原因として疑われている下顎頭の骨吸収は、時間の経過とともに顎関節症や顎変形症・開咬を生じさせ、かみ合わせの状態や下あごの位置が初診時と比べてどんどん変化してしまいます。
また開咬の発現には口呼吸、舌癖、アデノイド、慢性鼻炎など耳鼻咽喉科領域の疾患も関わっています。

治療開始前はこれらの要因について問題がないかどうかを確認し、必要に応じて他科(耳鼻科・外科など)へ依頼を行い連携することが非常に大切になります。外的要因に対しては矯正装置による歯のコントロールだけでは対処することができないため、状態によっては矯正治療を行うことができない場合があります。
なかには矯正治療開始前の時点で完全に予見することが困難なものもあるため、矯正治療中も定期的に検査を行うことが重要です。


矯正歯科ではたくさんの検査を行いますが、いずれも欠かせない大切なものですので、どうかご理解くださいますようお願いいたします。

c0193833_11452075.gif

by yamawaki2527 | 2009-06-15 12:02 | ちょっとアカデミックな話  

地方学会


日本の矯正歯科の分野で、最も規模が大きい学会は日本矯正歯科学会(通称「日矯」)と呼ばれるものです。
日矯の下には、地方学会と呼ばれる地区で独立した学会があります。
近畿圏では近畿東海矯正歯科学会がそれに当たります。


c0193833_12251151.jpg近畿東海矯正歯科学会(通称「近東」)は毎年6月ごろに大会が行われ、12月ごろに学会雑誌が発行されます。

全国大会に比べると大会の規模は小さいですが、毎年多くの発表や展示が行われます。


昨年12月発行の近東雑誌には山脇矯正歯科勤務医の大嶋理絵、青江智子をそれぞれ筆頭とした論文が計2編掲載されました。
その中の1編は、当歯科医院院長の山脇裕と下間矯正歯科院長の下間一洋先生が発案した、セファログラムと呼ばれるレントゲン写真の計測値を補正する方法について、統計学的な検証を行ったものです。

セファログラム分析は矯正診断では欠かせないものですが、計測値の評価は複雑で難しく、複数の要因によって計測値が影響を受けてしまいます。
場合によっては「受け口」の人が「出っ歯」を表す値を示すことさえありますから、かく乱要因を取り除いて正しい評価を行うことが非常に重要となります。

当ブログであんな事こんな事を書いてる彼女達ですが、仕事だって中々のものですよ!?

c0193833_12254242.gif

by yamawaki2527 | 2009-04-05 12:39 | ちょっとアカデミックな話  

研究会とは


学会と似て非なる存在に研究会や講習会と呼ばれるものがあります。

c0193833_1233257.jpg


研究会とは、所属する歯科医師が症例発表や講演を行い、診断方法や治療手順について意見交換し互いに研鑽するものです。
学会とは異なり印刷論文を発行することはなく、印刷物を刊行する場合も第三者が妥当性を判定したものではありません。(一部には例外があります)

とは言っても、研究会では各種学術論文の内容を紹介してみんなで知識を共有したり、難症例に対して「三人寄れば文殊の知恵」効果で妙案を絞ることができますから、大変意義のあるものです。

研究会は勉強会と呼ばれることもあります。講習会も良く似ていますが、こちらは著名な講師がカリキュラムを組んで教育をするという内容になります。


昨日3月12日は勝手ながら臨時休診日とさせていただいていましたが、この日は大阪で定期的に開催されている矯和会という研究会に参加していました。
矯和会は関西の中では規模が大きく歴史も長い研究会です。1年あたりの開催回数が多く、ベテランから若手まで幅広い矯正歯科医が熱心に勉強しています。

京都からは山脇矯正歯科の院長・山脇裕と副院長・本田領の他にも、洛西口の浅井歯科の浅井拓先生や、六地蔵のかながわ矯正歯科の金川京市先生、出町柳の速水矯正歯科の速水勇人先生、宝ヶ池通白川のきょうこ歯科・矯正歯科の松井恭子先生、宇治市大久保のいなみ矯正歯科の居波徹先生が参加されています。

今回は私をはじめ、「患者さんにとってリスクの少ない治療」という事をテーマに発表される先生が多かったのが印象的でした。
患者さんにとって魅力的に映るエキセントリックな治療法は、成功したときはメリットも大きいのですが、うまく行かないときは他の方法では最早フォローが不可能であったり、歯や歯周組織にダメージを残してしまうことがあります。
患者さんから「こういう方法で治してほしい」という希望をお聞きした場合でも、それを選択した場合のリスク評価を十分に行い、同時にその患者さんにとって最もリスクが低くなる(安定した結果が期待できる)と考えられる治療方法も同時に提案し、それぞれの内容と利点・欠点をよくご理解していただいた上で選択してもらうことが重要だと思います。

c0193833_12335142.gif

by yamawaki2527 | 2009-03-13 12:40 | ちょっとアカデミックな話  

学会の催し・学術大会


前回は学会の大切な役割、学術論文を掲載する学会雑誌の発行についてお話しました。今回はもう一つの大きな役割、学術大会の開催をお話します。

学術大会は1つの学会につき1年に一度、大きな会議場や展示場を使って症例発表や学術発表を行います。日本矯正歯科学会などの大きな学会では日程が3日以上にもおよびます。

症例発表ではレントゲン写真・石膏模型・治療手順などの資料を展示します。具体的な治療手順や治療前後の状態について詳細に情報を得ることができます。

c0193833_12405573.jpg学術発表は、論文投稿を行う前のステップとして目的・方法・結果・考察などを公開し、研究の手法や考察について広く意見を求め、論文の完成度を上げるために行われることが多いです。

発表にはスクリーンプロジェクタを使用した口演とポスター展示の2種類があります。
(写真はヨーロッバ矯正歯科学会でのポスター展示)

学術大会での発表は論文掲載とは異なり、手法や結果が妥当であるかどうかの検証は学会側では行われません。(内容に明らかな問題のあるものについては抄録提出の時点で修正や取り下げの指示が行われることがあります。しかし実際行われているチェック内容のほとんどは抄録がフォーマットに則っているかどうかの確認や用語の統一などです。)
ですから、実際の診療手順の組み立てや診断時にその根拠として学術大会での学術発表を使用することはできません。引用を行うなら、あくまで科学的に妥当であると判断された「学術論文」でないと意味がありません。

c0193833_12413659.jpg学術大会ではその他に、著名な研究者や臨床医を招いての教育講演やシンポジウムが行われたり、器具・材料を販売する業者さんの展示が行われます。

大会の期間は限られていますから、見たい発表や講演をすべてチェックするのは物理的に不可能です。みんなプログラムとにらめっこしてタイムスケジュールを考えます。

by yamawaki2527 | 2009-02-20 12:57 | ちょっとアカデミックな話