開咬とは
2009年 02月 17日
今回は噛み合わせの深さに問題のある不正咬合「開咬」をお話します。
正しいかみ合わせでは、奥歯でしっかり噛んだときに前歯も含めてほとんどの歯が上下の相手の歯と接触します。
このとき前から見ると上下の前歯はおよそ2~3mm程度重なります。
開咬では、奥歯でしっかり噛んでも、広い範囲にわたって上下の相手の歯と接触しない場所があります。
とくに前歯が上下で接触しないものを「前歯部開咬」と呼びます。奥歯が接触しないものを「臼歯部開咬」と呼びますが、開咬の多くは前歯部開咬です。
開咬の原因として「弄舌癖(ろうぜつへき)」が挙げられます。
通常ものを飲み込むときには、舌の先は上の前歯の内側の歯肉周辺か、あるいはもっと上(奥)あたりに触れます。ところが弄舌癖のある方では、飲み込むときに舌の先が上下の前歯の裏側を押したり、上下の前歯の間に挟まったりします。
舌の力は大きくありませんが、ものを飲み込む動作は一日に1000回を超えると言われていますから、これは歯を動かすには十分な力となります。長い時間をかけて、舌の力によって開咬が作られて行きます。
また普段鼻ではなく口で呼吸をしていると、舌の位置が通常よりも低い場合があり、前歯に力をかける要因となることがあります。
他にも、あごの骨の形や成長が原因で生じる開咬も存在します。
開咬の問題点は、前歯を効果的に使うことができないため噛み合わせの能力が低下することや、あごの運動に不利であること等が挙げられます。
開咬の治療にはマルチブラケットなどで歯を移動させる以外に、筋機能療法(MFT)と呼ばれる筋肉のトレーニングを行い、弄舌癖をなおすことが必要となる場合があります。
by yamawaki2527 | 2009-02-17 14:29 | 歯ならびの話